「報告書」の一部を取り上げた、ミスリードを誘うツイート
2013年10月29日に投稿されたツイート
「1997-2001 年には、チェルノブイリ原発30km ゾーンから避難した子どもと汚染地域にすむ子どもの両方で、健康な子どもの減少というはっきりした傾向が観察された。」
〈解説〉
2011年4月に出されたTwenty-five Years after Chornobyl Accident: Safety for the Future, National Report of Ukraine(ウクライナ政府(緊急事態省)報告書『チェルノブイリ事故から25年』)のp.155に示されている内容で、ウクライナ政府報告書botから発信されている。
内容はウクライナ政府報告書に書かれていることではあるが、報告書にも少し書かれていることであるが、放射線以外の好ましくない要因、即ち貧弱な栄養状態と報告書をきちっと読むと書かれてはいる。
しかしながら一連のウクライナ政府報告書botからのツイートを読むと放射能汚染の影響で、健康な子どもの減少が進んでいる、それは放射能汚染のせいだと誤読されてしまう。
- 更に詳しく
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チェルノブイリ事故から25年:将来へ向けた安全性 2011年ウクライナ報告書
2016年1月刊 原著:ウクライナ緊急事態省、 監修:今中哲二、監訳:進藤眞人 を参照ください。
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/210269/1/KURRI-EKR-5.pdf
p.155には以下のような記述があり、上記tweetはこれらのデータに基づいていると推察される。
また、p.156には
ここで言う放射線以外の好ましくない要因、とは何をさすか。
p.164には、「甲状腺疾患の有病率の増加には、事故の負の要因が複合的に寄与している。まず第一に、電離放射線の影響と幾つかの微量元素、特にヨウ素とセレンの不足がある。」という記述がある。
さらに別の国際誌に掲載された論文のなかには、一番の問題は「貧弱な栄養状態」が主因と考えられるとある。実際、2015年に発表された論文(Dietary supplementation with radionuclide free food improves children’s health following community exposure to 137 Cesium: a prospective study(放射性核種を含まない食品による栄養補給は、137セシウムの地域被ばく後の子どもの健康を改善する:前向き研究), DM McMahon他)という論文もでている。
実際、
1986年 チェルノブイリ事故
1990年 ベラルーシ独立宣言
1991年 ソ連崩壊・ウクライナ成立
1995年 食料品の制限が解除→内部被曝量が1988年レベルになる。
1995年に比べ、1996年の子どもの赤血球数やヘモグロビンレベルは1996年に一時的に低下している。これは、1986年〜ナロディチやウクライナ・ポリシア地方では毎日学校で汚染されていない食品を食べることが出来たが、1995年には資金が削減され、3食から2食に削減された影響が大きいのではないかと、述べられている。
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