「0.16μSv=大人が約五年未満で白血病になる」は明らかな誤り・虚偽
福島原発事故以降に出された”チェルノブイリorウクライナorベラルーシ” and “健康 or 病気”で抽出したキーワードの含まれるツイートから、リツイートの多かった順に検証します。
2011年10月11日に投稿されたツイート
「チェルノブイリで0.09μSv=子供が変調病気になり始める(東京の西側がこのくらい)0.16μSv=大人が約五年未満で白血病になる(足立区周辺このくらい)チェルノブイリの立入り禁止入口付近=0.232μSv(浅草やTDLがこのくらい)考えよう!思考を止めてはダメ!」
このツイートについて検証しました。
〈解説〉
この放射線量の数字を聞いて、東京でも計測器で普通に示される数字だったので、当時は心配された方も多いかもしれません。
虚偽とする根拠は、2011年の時点で、福島事故の影響のない関西でも、上述の数字は福島県外でも普通に認められた数字です。
なお、広島長崎の被ばくで、0.005 Gy以上の線量を受けた被爆者(平均被曝線量約0.2 Gy=約200mSv)の生涯白血病リスクは約10例/千人(相対リスクは約1.5)でした。
またチェルノブイリ地域については、BBC News Japanには2019年4月25日の記事のなかでチェルノブイリ原子力発電所の線量分布を紹介した記事がある。
この図から、2011年時点でチェルノブイリの立入り禁止入口付近=0.232μSvという数字は、不思議ではない。
但し、この数字はチェルノブイリ事故(1986年)後25年後の数字である。
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-47248881#:~:text=%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%96%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%81%A7%E3%82%B9%E3%83%9F%E3%82%B9%E6%95%99%E6%8E%88%E3%81%AF,%E3%81%A8%E6%95%99%E3%81%88%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%80%82&text=%E3%81%82%E3%81%BE%E3%82%8A%E3%81%AB%E3%82%82%E6%9C%89%E5%90%8D%E3%81%AA%E5%8E%9F%E7%99%BA,%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%A0%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%80%82
https://www.bbc.com/japanese/60535049
なお、BBCニュースは2022年2月26日に、ロシアのウクライナ侵攻により、ロシア軍がチェルノブイリのこの立ち入り禁止区域に入り、その後、同原発の放射線量をモニタリングしている施設で、通常の20倍もの放射線が記録された。
原子炉周辺での放射線量は通常、毎時3マイクロシーベルト。しかし24日にはこれが毎時65マイクロシーベルトまで跳ね上がったとのことである。
- 更に詳しく
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以下のデータは2015年から2018年3月までの、福島の一部地域を除いて福島事故の影響は認められないと考えられる時期に、NPOあいんしゅたいんのTEAMユリカモメによって測定された結果である。
0.1μSv/h -0.15μSv/hは広域で認められ、特に岐阜県や、関西では0.15μSv/hを超える地域も多い。
http://bhgull.watson.jp/mapjpg/zentai_m.JPGまた、福島の高校生が日本、フランス、ポーランド、ベラルーシの方に協力を求め、個人線量計を1-2週間身につけて測ってもらった結果をまとめた論文がある。
Measurement and comparison of individual external doses of high-school students living in Japan, France, Poland and Belarus—the ‘D-shuttle’ project—
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/0952-4746/36/1/49これらの結果は、2014年に測定されたデータであるが福島が特に高いわけでなく、日本国内では恵那などではむしろ福島より高いところもあったこと、フランスなど外国にはもっと高いところもあったことを明らかにしている。
従って上記ツイートで書かれている数字は、福島事故と関係なく、日本の多くの地域で認められる線量で、不要な恐怖を煽ると判定された。
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