「原発のウソ」は、2011年6月1日に発刊され、累計30万部が販売されました。また、小出裕章氏は3.11以降1年間に16冊の本を出版しています。さらに自主避難者裁判でも、自主的避難を決断するに当たって参考にした情報との記述に、小出氏の話が挙げられています。そこで、「原発のウソ」の内容について、2025年の今の知識から内容の気になる部分について検討しました。
帯に書かれているのは「安全な被曝量」は存在しない!です。本文のP.68-71に、このことが書かれています。

ちょっとDNAに傷がついた程度でも、その傷が細胞分裂で増やされていくわけですから、「全く影響がない」なんてことは絶対にいえません。「人体に影響のない程度の被曝」などというのは完全なウソで、どんなにわずかな被曝でも、放射線がDNAを含めた分子結合を切断・破壊するという現象は起こるのです、と書かれています。
これは「直線、しきい値なし」モデル(LNTモデル)に基づいています。ICRPは、放射線防護の目的上、単純かつ合理的過程としてLNTモデルを採用していますが、近年、LNTモデルは現実に合わない過大評価であるとの論文もでています。
また、小出氏のこの本に紹介されている内容は、JCO臨界事故やキュリー夫人の例を紹介、即ち高線量放射線の影響を紹介し、低線量放射線でも起こるような錯覚を与えている点も誤解を招きます。特にこの本の中では、DNAに傷がついてもほとんどの傷は修復されることや、傷が大きいとアポトーシスという方法で放射線により障害を受けた細胞が除去されるメカニズムが働き、放射線障害の影響が抑制されるメカニズムもある、といった生体の持つ機能、放射線障害に対応する機能について触れられていません。
汚染された農地の再生は可能か

「2015年放射能クライシス」のところでも書いたように、事故5年後の2016年には、福島県環境保全農業課「農林水産物のモニタリング検査件数及び結果の推移」によると、山菜・きのこを除くと基準値越えは検出されていません。これは福島の農業者の努力によるところが大きいです。同時にチェルノブイリ事故と比べて放出された放射線量の差および、チェルノブイリ地域(砂質)と福島(粘土質)の土質の差も大きいと考えられる。実際、日本の土壌が粘土質であることから放射性セシウムのお米の移行が軽微であったことが明らかにされている。

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