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#3.11#原発事故#放射線#放射能濃度

専門家が答える 暮らしの放射線Q&A② 「原発から放射能が漏出していますが、これは過去の米ソ中による大気圏核実験による放射能放出と比べて、 1)露出する放射能の種類 2)放射能量 3)遠近の環境への短期/長期影響 の3つの点で違いはありますか。」

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福島第一原子力発電所の事故以降、日本保健物理学会はWEBサイト「専門家が答える暮らしの放射線Q&A」を立ち上げ、子育て世代を中心とする一般生活者から寄せられた疑問に答えてきました。
ここではその問いと回答の一部を抜粋し紹介します。
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福島第一原子力発電所事故と核爆発での放射能放出の違いを知りたい人

大気中への放出の違い、セシウムの総量の違いがあります。
また環境への影響は当時の風向きによって変わってきます。

1)露出する放射能の種類

核爆発や運転を続けた原子炉が持っている放射性核種は基本的に同じですが、大気中への放出の違いがあります。

すなわち、核爆発では爆発による一瞬の大量放出に対して、東電福島第一原発事故では水素爆発による揮発性の高い核種の漏出と考えられます。

従って、核爆発では、ウラン、超ウラン元素(プルトニウム、アメリシウムなど)の核分裂生成物で質量数が90付近の元素(クリプトン、ストロンチウム、イットリウムなど)と質量数が130付近の元素(テルル、ヨウ素、ゼノン、セシウムなど)が放出されますが、今回の事故では希ガスのクリプトン(Kr-85)とゼノン(Xe-133)、テルル(Te-132)、ヨウ素(I-131、I-132)、セシウム(Cs-134、Cs-136、Cs-137)が主な漏出元素で、ストロンチウムはセシウムの千分の1程度とされています。

 

2)放射能量

福島原発から漏出した放射能の量は、およそ60京ベクレルとされていますので、その内セシウムが10分の1程度としますと、これは1945年から1963年までの米ソ中の大気圏核実験で放出されたセシウムの総量の10分の1程度と見られます。

 

3)遠近の環境への短期/長期影響

汚染区域は単純に原子力発電所からの距離によって減少するのではなく、爆発があった当時の風向きによって、かなりの違いがあることがお分かりのことと思います。また、半減期の長いセシウム-137(物理的半減期:30年)などは風化作用や、雨で洗い流されることによる減少効果はあるものの、除染されていない山地や森林においては、かなりの部分は長くその地に留まり影響を与えることになります。

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この記事を書いた人

河野恭彦

茨城県生まれ。一般社団法人日本保健物理学会正会員として、東京電力福島第一原子力発電所事故後に暮らしの放射線Q&Aウェブサイトを立ち上げ、一般の方々からの放射線に関する健康影響に関する質問に答える活動を約2年間行ってきた。2016 年にIAEA 放射能測定研究所(モナコ公国)へ留学。専門は環境放射能、放射線防護。IRPA Young Generation Network Leadership CommitteeのChairを2023年10月より務める。